1967年のスピログラフ発見!そして「もどき」とアプリ

1967年のスピログラフ発見!そして「もどき」とアプリ

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55年前の「スピログラフ」を発見!!感涙もの、1967年の初代豪華セットは間違いなくヴィンテージ品だ!そして、スピログラフ「もどき」を試した結果は?遊べるアプリはあるのか?数式的な仕組みは?

1967年の初代スピログラフ

「スピログラフ」とは?

「スピログラフ」は、歯のついたリングの中を、歯車をまわして独特の模様を描くおもちゃだ。同様の仕組みを使った安価なおもちゃが、デザイン定規、くるくる定規などの名称で、3枚程度の歯車入りで売られているので、ああ、あれね、と思われる方も多いと思う。
元祖は、1965年にイギリスのデニス・フィッシャー考案のもので、1966年に商品化、直後に日本に導入された。爆発的な人気を博したので、当時を知る方は懐かしく思われるのではないだろうか。

家で発見、子どものときにおねだりしたスピログラフ

子どものときに、デパートへのおでかけで、おねだりして買ってもらって大切にしていた「スピログラフ」、55年前のセットを、家の中で発見し救出した。

1967年のスピログラフ外箱

1967年のスピログラフ外箱

1967年のスピログラフセット内容

1967年のスピログラフセット内容

真っ赤な紙箱のパッケージにプリントされた、白人の西欧人が家族で楽しむ和やかな写真は、かの人気吹替ドラマ『奥様は魔女』の時代を彷彿とさせるヴィンテージ感たっぷりである。リング2個と歯車18個、バーが2本、ダンボール製の基板に固定できるように、それぞれのパーツには小さな穴が開けられており、赤い頭の短いピンが付属している。

1967年のスピログラフパーツ

1967年のスピログラフに含まれているパーツ拡大

外箱のふたの裏には、2つの固定リングのそれぞれについて、回転歯車18個の一番外側の穴で描いた時に、どのような模様が描けるのか、模様の一覧表がある。

1967年のスピログラフ箱ふた裏側早見表

1967年のスピログラフ箱ふた裏側にある、模様一覧表

同梱されている解説書が秀逸

箱に同梱されている解説書が秀逸なのだ。一つの歯車をただ回転させていくだけでも、おもしろい模様ができるが、組み合わせていくと、さらに精巧で美しい模様を描くことが可能だ。

1967年のスピログラフ解説書

1967年のスピログラフ解説書

1967年のスピログラフ解説書内容一部1

1967年のスピログラフ解説書内容一部(その1)

1967年のスピログラフ解説書内容一部2

1967年のスピログラフ解説書内容一部(その2)

どのようにすれば、発展した図柄をつくれるか、子どもには難しい内容まで、お堅い小さな文字で詳しく説明されている。今、ネットや本を探してみても、そんな詳しい情報を見つけることはできない。

憧れのおもちゃ

デパートの売り場にテーブルを広げ、実演しているところを憧憬をもって眺めた子ども時代の一コマの記憶は今も鮮烈だ。箱には、懐かしいデパートの値札ラベルがついたままになっていた。1,440円とある。当時の物価を考えると、おおざっぱになるが10倍ぐらいの値段を考えていただいたらいいだろう。

夢がかなった!初めて描けた高度な模様も

解説書をあらためて読んで、子どもの頃には、難しくてできなかった、いつかは、と憧れていた模様を、はじめて描くことができた。夢がかなったのである。

今、楽しむとしたら?「もどき」とアプリもある

今、楽しむとしたら、どんな楽しみ方がいいか調べてみた。「スピログラフ」は、違うセット構成で、今でも販売されている。思う存分楽しむには「スピログラフ・デラックス」が良さそうである。これに含まれている22パーツと、同じ種類のパーツのセットが安価で販売されていたので入手してみた。さらに、リングや歯車の形が特殊な応用セットがあり、手に入れてみた。さらに、さらに、素晴らしいアプリを作ってくれている方がいた!スピログラフもどきの使用感、アプリを使ってみた感じも紹介する。(「スピログラフ」という名称のアプリがあるが、ご紹介するのは、別のものである。多くの人にとって、もっと楽しめるであろうアプリがある。)
「スピログラフ」、とても、楽しくて、ひとしきり夢中になること間違いなしだ。紹介するスピログラフ「もどき」やアプリを使えば、今でも楽しむことができる。

スピログラフ「もどき」を試す

55年前の愛しの「スピログラフ」、今、楽しむために、安価な「もどき」は使えるか?試してみた。

「もどき」の基本セットと応用セットを手に入れた

55年前の「スピログラフ」の豪華セットを発見して楽しんだ。これから新たに楽しみたいのならどうするか。本家の「スピログラフ・デラックス」は5,000円弱だが、それと同等の22個のパーツから成る、安価なスピログラフ「もどき」のセットがあったので、手に入れてみた。600円で買ったが、おおむね1,000円強で購入できるだろう。

スピログラフもどき基本セット

スピログラフ「もどき」基本セット

同じくらいの価格で別売りされていた応用セットも手に入れ、あわせて試してみた。

スピログラフもどき応用セット

スピログラフ「もどき」応用セット

基本セットと応用セットを100均のケースに収納した。

スピログラフ「もどき」を100均のケースに収納

スピログラフ「もどき」を100均のケースに収納

固定の方法に工夫を

55年前のオリジナルの「スピログラフ」では、ピンで、パーツを固定できるようになっていたが、そうした方法がとれないので工夫する必要がある。手だけで固定しようとするのは、やめた方がいい。マスキングテープを貼るなどした上で、手でおさえるといい。
練り消しでおさえて固定するのがオススメだ。消しゴムスタンプづくり用にストックしてあったものを使った。

描くペンは?

描くペンは、PILOT ジュースアップ0.4を使った。YouTubeでジュースアップによってスピログラフを描く動画を見たことと、複数のカラーをもっていたので使用した。メタリックカラーで描いてみた。シャープで繊細な見た目に描くことができるが、もっと太めでソフトな線の方が見映えがする場合もありそうだ。ペン選びは試行錯誤の余地がある。

描く紙は?

紙は、最初、普通のプリンター用紙を使ったのだが、繰り返しが多くて交差の多い模様のときは、交差部分に穴が空いてしまったので、手持ちの、やや厚手になるインクジェット用紙のうちの安価なものを使った。これは、ペンとの相性になるだろう。

固定のための練り消し使いのコツ

固定のための練り消しは、ちぎったあと、スムーズになるまで丸めてから、軽く押しつけるようにしてはりつける。ちぎった直後のボサボサのまま、紙に押しつけると、描き終わってはがすときに、紙に練り消しのカスが残ってやっかいである。

「もどき」より本家の方が楽しめそう

55年前からある基本形の丸い歯車では、いちおう描くことができたが、4つの変形歯車で描くのはかなり手こずって、2つはあきらめた。

スピログラフもどき基本セットで描いた模様

スピログラフ「もどき」基本セットで描いた模様

スピログラフもどき応用セットで描いた模様2

スピログラフ「もどき」変形歯車で描いた模様

変形歯車、「もどき」でなく現在の正規の「スピログラフ」の製品であればうまく描けるのだろうか。普通の丸い歯車にしても、55年前の「スピログラフ」で描くときの方が、「もどき」に比べると歯の噛み合わせがスムーズである。
さらに、リングや歯車などに表示されている目盛りと歯の位置合わせの精度が、55年前の「スピログラフ」の方がしっかりしている。歯車のリングに対する位置をずらして複数回描くといった、高度な描き方をするには、大切なポイントになる。
試していないので、断言は避けるが、55年前の製品の精度からすると、本格的に楽しみたければ、「もどき」より、今売られている本家の「スピログラフ」の方がよさそうである。

スピログラフ「もどき」応用セット

スピログラフ「もどき」の基本セットといっしょに手に入れた応用セットは、リングが三角形のものと四角形のものがあり、歯車の形もバリエーションに富んでいて楽しめそうに思った。しかし、いくつか試したところ、連続して回転させていくのがとても難しく、数個描き上げただけで、音を上げてしまった。

スピログラフもどき応用セットで描いた模様1

スピログラフ「もどき」応用セットで描いた模様

基本セット、応用セットともに、図柄は、1歯車で1回描いただけのシンプルなものばかりである。

心はアプリへーアプリとの出会い

「もどき」でも、慣れればもっと楽しめそうだが、早々と描くのを切り上げたのには、訳がある。素晴らしいアプリを知ってしまったからである。そのアプリに出会わなければ、もう少しがんばっていたかもしれない。たしかに、手を動かして遊ぶことの楽しみもある。とはいうものの、55年前の「スピログラフ」に付属していた解説書で知ったテクニックを使って、複雑な図柄を描きたいという思いでいっぱいのところに、アプリと出会ってしまったのである。

今も魅力的なスピログラフおもちゃーアプリ体験でいっそう高まる楽しさ

ちょっと知的でおしゃれなおもちゃとして、55年を経た今も「スピログラフ」はとても魅力的だ。その楽しさへの期待は、アプリの体験によって、いっそう高まることだろう。

(おまけ情報)100均の「もどき」で体験することもできる

100均のもので体験したいという方もいらっしゃるかと思う。近所のセリアで手に入った「くるくる定規セット」についても、ご紹介しておく。

100均くるくる定規表面

100均くるくる定規セット(表面)

100均くるくる定規裏面

100均くるくる定規セット(裏面)

外枠の固定歯車1種と回転歯車3種、赤ペン・青ペン、描画用紙が袋に入ったセットで、これさえあればすぐに遊ぶことができる。

100均くるくる定規内容

100均くるくる定規セット内容

固定歯車の歯数は96と、代表的な数である。回転歯車の歯数は、63、52、36で、異なる趣向の図柄ができるような組み合わせになっている。ペンと紙の相性もよく、歯車の噛み合わせもスムーズで、よくできている。大人の方は、すぐ飽きてしまわれるかもしれないが、ひとしきりは楽しめるだろう。ごく小さなお子さんに、はじめて気軽に遊ばせたいときなど、いいかもしれない。

アプリInspiral

55年前の「スピログラフ」を楽しんでから、アプリInspiralに出会った。これはイイ!無料で楽しめるし超オススメだ。アプリを使ううちに、実物でも描いてみたくなる方がいらっしゃるかもしれない。

スピログラフ風グラフィックアプリ、楽しいのはInspiralだ!

「スピログラフ」風のグラフィックを描けるアプリがInspiralである。スピログラフ風を狙ったアプリは他にもあるが、楽しいのはコレが一番だ。

アプリinspiral

アプリInspiral(写真はiPad)

まず、リングに相当する固定部分になるパーツと、回転させるパーツの種類の豊富さに圧倒される。数学的な知識がなくとも、体系的に試していくことによって、図柄づくりの原理に迫っていけそうな気配があって気分がアガる。

アナログ感覚の使い勝手と機能豊富なInspiral

1回の繰り返し模様が完成するまで連続して描かせることもできるし、1回転分ずつ描かせることもできる。
固定するパーツに対して回転させるパーツの噛み合わせの位置を一歯ずつ移動させることがボタンひと押しでできる。
回転させるパーツの中の描くのに使用する穴を体系的に選択するのも容易だ。55年前の「スピログラフ」セットについていた解説書にのっている高度なテクニックを気軽に試してみることができてうれしい。
もちろん、ペンの色、紙の色を変えるのも簡単。固定パーツと回転パーツの組み合わせを複数使ってグラフィックスを描くときの位置合わせ用に回転の中心を位置決めしてピン留めすることもできる。

小まわりのきく描き方も可能

気が利いているのは、回転させるパーツの上に指を置いて手動で回転させられることだ。小まわりのきいた描き方の工夫ができる。
もちろん、デジタル画像が保存されるので、加工は自由自在である。
下の写真にあるプリント3種は、あえて昔風のシンプルな並べ方にして合成してあるが、大きさを変えたり、他のグラフィックスに組み合わせたりすることができる。

課金もできるが、無料で十分楽しめる

610円支払えば、パーツを増やしたり、ペン・紙の種類を増やしたりできる。アプリをとても気に入ったので、応援する意味で課金したが、無料で十分楽しめるだけのバリエーションのパーツ、ペン、紙が揃っている。

アプリInspiralで描いた模様のプリント1

アプリInspiralで描いた模様のプリント(その1)

アプリInspiralで描いた模様のプリント2

アプリInspiralで描いた模様のプリント(その2)

アプリInspiralで描いた模様のプリント3

アプリInspiralで描いた模様のプリント(その3)

はじめのプリント2種は、無料ですべて描いた。3種目のプリントは有料の機能を使った。

アプリInspiralで描いた模様のプリント3の拡大

アプリInspiralで描いた模様のプリント(その3)の拡大

アプリで楽しんでから、実物の「スピログラフ」にいっそうの愛着を深める

Inspiral、とても気に入った。スピログラフは、55年を経ても、この手に残っており、思い出を確かめることができる。Inspiralのようなアプリ、今後どうなっていくのだろうか。今から55年後にはもうこの世にいない。アプリの魅力に心酔しながらも、実物の「スピログラフ」への愛着がいっそう増すように感ずるのは、つまらない感傷にすぎないのだろうか。

スピログラフの仕組みを理解したいなら

スピログラフを、もっとイチから描いてみたい方には、『アートで魅せる数学の世界』(技術評論社)がオススメだ。パソコンのExcelで描くコツがわかる。数式でも初歩からちゃんと説明してくれている。

『アートで魅せる数学の世界』

『アートで魅せる数学の世界』(技術評論社)

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