デザイナーズチェア空前の大ブーム 立役者は『SPY×FAMILY』言わずと知れたことか!?
アニメ『SPY×FAMILY』の放映と原作表紙のデザイナーズチェア
ガチャガチャにデザイナーズチェア登場
アニメ化されて、2022年前半の話題を独占したコミック『SPY×FAMILY』。2022年後半もアニメの続編が放映されて好評だった。そして、本の表紙で登場キャラクターが各キャラクターの個性に合わせたデザイナーズチェアにすわっていることで、デザイナーズチェアに注目が集まることになった。もちろん、デザイナーズチェアは古くから人気があったが、アニメ化されるような人気コミックの影響は、はかり知れない。『SPY×FAMILY』の表紙を飾るデザイナーズチェアが、ガチャガチャに「デザイナーズチェアコレクション」として登場した。
20年前に手に入れた洋書『1000Chairs』を見つけて
恥ずかしながら『SPY×FAMILY』、つい先日まで知らなかったのである。20年近く前に手に入れた分厚い洋書『1000Chairs』を家の中で偶然見つけたことが、ことの始まりだった。1000種類の椅子のカラー写真と解説がつまった本のページが椅子への興味を呼びおこす。
椅子の本などを見て調べていて、椅子のミニモデル「デザイナーズチェアミニチュアコレクション」がお手頃価格で手に入ることに気づき、そうこうしているうちに『SPY×FAMILY』の表紙に出会った。『SPY×FAMILY』は、タイトルの名を聞いたことがあるだけだった。『SPY×FAMILY』といえば、アマゾンプライムでもネットフリックスでもアニメを見ることができたのでは?あったあったというわけで見始めたら、結局あれよあれよという間に、イッキ見してしまった。おしゃれー、楽しい!
ガチャガチャのデザイナーズチェアを大人買い
そんなわけで『SPY×FAMILY』の人気のおかげで販売されたデザイナーズチェアのミニチュアを手に入れることができた。チェアは1/24スケールで6種類。ガチャガチャのものだが、コンプリートしたかったので大人買いした。ガチャガチャのカプセルを実際に手にしたのははじめてのことで、ガチャガチャのミニチュアの世界、おもしろいものがいろいろあって、すごく楽しいことも、あきれられるかもしれないが、はじめて知った。
第1巻から第3巻の表紙のデザイナーズチェア
まず、第1巻のロイドは、ル・コルビジェのブラックのLC2、
第2巻のアーニャは、ジョージ・ネルソンのカラフルなマシュマロチェア、
第3巻のネルは、イームズのホワイトのラ・シェーズだ。
第4巻以降は、後述する。
それぞれのデザインの解説や歴史的な流れを知りたければ
椅子のデザインを眺めて楽しむのに分厚い『1000Chairs』はいいが、それぞれのデザインの解説や歴史的流れを知りたければ『増補改訂 名作椅子の由来図典 年表&系統図付き』(誠文堂新光社)がうれしい。
ネットのPen online「名作椅子に恋して」も手軽にいろいろ眺められる。デジタルといえば、興味深いアプリがあるので後述する。
第4巻から第6巻の表紙のデザイナーズチェア
第1巻から第3巻に続き、第4巻から第6巻表紙である。
第4巻はボンドで、エーロ・アールニオのボールチェア(グローブ)、
第5巻はユーリで、ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェア、
第6巻はフィオナで、パントンのハートコーンチェアである。
ミニチュアは、これで6種全部だ。各種、色違いをもう一脚ずつ持っている。
Vitra(スイス)のデザイナーズチェアコレクション
デザイナーズチェアのミニチュア、ガチャガチャの100倍以上の値段で売られているVitra(スイス)のものが広く知られている。Vitraはデザインミュージアムが有名で、ずいぶん前に手に入れた椅子尽くしのVitraのポスターのことを思い出して家の中で見つけた。とても見事な圧巻のポスターだ。レイアウトの異なるものが今でも手に入る。
椅子のシーン別ランキング集
『この椅子が1番!』(誠文堂新光社)は、椅子の専門家100人のアンケートにもとづく、椅子のシーン別ランキング集というおもしろい趣向。「美女が座って絵になる椅子」、「子どもに絵本を読み聞かせる時に座る椅子」と、おもしろいシーンが38個掲載されている。中には、お買い物ガイド的に使えそうなランキングも含まれており、専門家によるコメントやコラム、椅子のイラストたっぷりで楽しい。
第7巻から第9巻の表紙のデザイナーズチェア
第7巻から第9巻の表紙のデザイナーズチェアは、ミニチュアがないので、椅子の3Dビューアプリ、「ムサビのイス3D」でそれぞれを見ていこう。
無料アプリ「ムサビのイス3D」(武蔵野美術大学美術館・図書館)
「ムサビのイス3D」は、武蔵野美術大学美術館・図書館の近代椅子コレクションを3Dビューできる無料アプリ。360度自由に回転させて椅子をみることができるのみならず、光源の調節をしたり、好きな背景とともに写真にしたりできる。目が回るほどたくさんの椅子が収録されていて、それぞれの解説を読むことができるし、もちろん検索機能もある。
武蔵野美術大学 美術館・図書館に行けば、コレクション公開時には、実際に座ることができる。
『SPY×FAMILY』7・8・9巻表紙のデザイナーズチェアを「ムサビのイス3D」の3Dビューから3ショットずつとりだしてみた。
第7巻はダミアンで、マッキントッシュのウィローチェア、
第8巻はフランキーで、イームズのイームズラウンジチェア、
第9巻はベッキーで、ジョージ・ネルソンのココナッツチェアだ。
ミニチュアはないけど、アプリでグリグリ3Dすると、裏まで見えて、とっても楽しい。
名作椅子のデザイナーの建築を見る
名作椅子にまつわる本は、たくさんあるが、『名建築と名作椅子の教科書』(エクスナレッジ)は、名作椅子のデザイナーの建築を合わせて見ることができるという魅力ある1冊だ。それぞれのデザイナー(建築家)の名作椅子と名建築の間の共通性が一望で、椅子から建築へ視野を広げること、建築から椅子へと関心を向けることができるといううれしい趣向である。世界をグッと広げてくれるようで心躍る。
専門家の多い椅子の世界、楽しみは果てしない。