本学大学院生(2012年入学)
修士課程での2度目の学生生活はとても充実したものとなりました。1年目は,講義と制作が中心となり,美術教育の理論や実践的な内容を学びました。特に,理論的な内容では,これまで経験した具体的な事例と照らし合わせながら理解していくことができました。また,すべての授業を通して美術や教育の「本質とは何か」について考える場ともなりました。 2年目は研究が中心となり,自分の興味がある事柄に対してじっくり腰を据えて追求していくことができました。研究や論文執筆の経験がない私は非常に苦しみましたが,学校現場で日々の職務に追われていたことを考えると,純粋に自分のためだけに学び追求できることは,とても贅沢なことでもありました。
「いかに実感をもって語るかが大事。だからできるだけ本物を見なさい」というのは講義の中でのある先生の言葉です。この言葉に背中を押され,長期の休みを利用してフィレンツェとローマへ行きました。どちらも1週間ほど滞在し,ひたすら美術館と教会を巡りました。作品の素晴らしさはもちろんですが,教会の壁画が描かれている場所や,作品が生み出された街の様子など,図版ではわからないことも目にすることができ,理解を深めることができました。
普段,美術と接する機会が少ない生徒にとって,教師は「美術の世界」の「入り口」という役割を担っています。教師が「美術の世界」の魅力を,授業の中で実感をもって語り,示していくことは,生徒が美術の面白さを知り,興味をもつ上で必要かつ大切なことです。
また,この2年間は私自身が生徒の立場で,美術分野の先生方から「美術の世界」の魅力をたくさん教えていただきました。ここで得たことを,今度は実践に活かし,生徒たちに伝えていかなくてはと思います。